OPA627取り扱いの注意
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OPA627の特性と取り扱いの注意・その他
OPA627の特性と使用上の注意
Dr.DACシリーズ以外でOPA627 を使用される方が増えていますので、一般の回路で使用される場合の注意事項を思いつく範囲でかんたんにまとめてみます。
1)Drシリーズ以外の一般の回路における発振の可能性について
OPA627は多くの自作派やオペアンプ交換派が交換にチャレンジする俗に言う高速オペアンプ、高級オペアンプの中では発振しにくい方ですが、オーディオ帯域で多用される5532、2134等との比較ではかえって発振しやすい場合があるといえるでしょう。
特にヘッドフォンを直接駆動するケーズなどでヘッドフォンのケーブルの容量がそのままオペアンプの負荷となる回路では発振しやすくなります。これを防ぐには、出力に抵抗を入れるなどの発振に対する対策が必要となります。具体的な方法については、たくさんの事例がインターネット上で公開されていますので、参考にしてください。
※Dr.dAC/Dr.dAC2のヘッドフォン部は後段にバッファがありますので、OPA627で発振する心配はありません。ただし、基板のICソケットの半田付けに不良がある場合などはこの限りではありません。
2)OPA627 の精度とばらつきについて
OPA627(特にBP)で比較的高いレベルに保たれているのは、まずはDC精度であり、次にひずみ率や雑音特性などの一部のAC性能ですが、例えば、上記の発振のしやすさなどについては特に項目があるわけではありませんし、半導体である以上、 普通のオペアンプ並みのばらつきは生じますので、左が発振しやすい、右が安定しているといった状況になることはありえます。またヘッドフォン相手の場合は右と左でコードの長さが違ったり、ユニットの特性が違うために、片側だけ発振するケースがあるかと思います。いずれにしてもオペアンプの問題ではありませんし、OPA627の不良といえるようなものではありません。半導体である以上、どうしても避けられないばらつきについては、実装、回路で対処していただく必要があります。
3)2008年1月現在でOitafactoryの配布しているOPA627BP変換基板実装品は無鉛対応後に変化したピンの仕様に対応して、ハンダ性改善のための下地処理を施してからはんだづけしてあります。また変換基板にも下地処理をしてあります。このため、修理の際は、スルーホール部分を切り開くようにして、丁寧に作業しないかぎり、二度と外せないのではないかという位にしっかりくっついて一体化していますので、外すだけでかなりの手間とリスクが生じます。修理には通常の半田付け作業の3倍程度の時間がかかりますので、今後、修理は有償(実費+作業費)とさせていただきます。また、オペアンプが明らかに壊れている場合はわざわざ手間をかける意味がありませんので修理はできません。故意に破壊した形跡のあるものについては送りつけられても修理をお断りする場合がありますので、あらかじめ御了承下さい。修理を依頼される場合、事前に破損の状態を写真や文章で詳細にお知らせ下さい。
※Oitafactoryの配布する変換基板実装品は標準的な動作環境での動作テストを完了してからお送りしていますので、OPA627BPの場合、Dr.dAC/Dr.daC2でのヘッドフォンドライバ段、およびラインバッファ段での動作を保証できる状態でお渡ししています。
OPA627BPとAPの違い[1468文字][15行]
OPA627にはBP,AP,AUがあります。AUはSOPタイプのオペアンプで小さく、ひょっとすると内部の設計も異なる可能性があります。以前あったBUが廃番になってからAUのみを効率よく作れるように最適化したのかもしれません。もしそうなら、AUはAP,BPと比べて生産量が一桁以上違うようですし、実質的には少し異なる種類のオペアンプといった方がいいかもしれません。ある方の指摘によると、無信号時の消費電流も少ないらしいいです...。音はパッケージの違いが響くのか少しスケールダウンして感じられなくもありませんが、627の特徴は十分に感じられます。音楽ジャンルによってはすっきりしてより好ましい印象があります。
AUはルーペですぐわかる程度の粗悪なものから、20倍に拡大しないとあらが見えにくいものなど、明らかに刻印を書き換えた形跡のあるものも大量に出回っていますので要注意ですが、そういうのもけっこう、627っぽい音がしたりましますので、検査でいったんはねられたものを再生したものである可能性もあります。そういうのは確かに627でないとも言い切れない微妙なAUです。
BP,APはDIPという普通のオペアンプの形をしています。日本人の感覚からすれば、A が一番上等という風に思うかもしれませんが、Aがよりたくさん生産される標準品で、Bが特別に精度の高い選別品という扱いになります。Aは余りでなくて、むしろあくまでもスタンダードだからAなのです。Bはごく限られたユーザ向けの特殊用途品で数が少ないよ、特殊なんだよ、という位置づけです。(この辺りはアメリカの他のメーカー、例えば、AD社やナショナル社でもすべてではないにせよ、同じようにつけられています)
半導体である以上は、ある程度の範囲(工業製品の中ではもっともコントロールしにくいかもしれないレベル)のばらつきがあるのが当たり前なので、以上のような考え方でランクづけがなされています。通常はAで動作するように作るのが筋で、その性能をさらに高めたい場合や特別なケースだけBを選んでくれ、という感じです。
ここで大切なのは、一般論としてAとBの精度の差は通常はオーディオ帯域の増幅に直接関係のないDC精度が基準になっていることです。測定器とか計測器とか、例えば地震計だったりすると、DC精度は大切ですし、オーディオでも耳で聞こえないけど、体で感じるレベルの低周波の再生にこだわる場合は、どうしても外せない大切な要素になります。 そこまでいかなくても、入り口から出口まで完全にDC直結だったら、下手すると火事になりますが、さいわい、そういうのは、ほとんど市販されていません。
だから普通のオーディオに関しては、「そんなのかんけーねー(by小島よしお)」です(一応、のはず)。
もっともバーブラウン(現在TI社傘下)のOPA627のばあいは、APとBPではひずみや雑音特性、オープンループゲインにも差があり、オーディオ帯域でも影響のあるところで選別をされています。この差は、ヘッドフォンできちんとした再生環境であれば聞き取れるレベルの差です。
でも平均的な性能のBPと平均的な性能のAPではそれなりの差はあっても、ぎりぎりBPに慣れたBPとBPになり損ねたAPを比べた場合、果たして聞き分けができるかどうかは微妙なところです。
ただ、これも現在では生産体制に改良が加えられていて、BPを専門に作るラインとAPを専門に作るラインが分けられている可能性もあります。
実際に、妙にAUに近い音質のAPとBPに限りなく近いと感じるAPが存在したりします。
この辺りの差がどうやって生じているのかは、本当のところはっきりしません。
BPがぜったてきにいいとは、とてもいえません。AUはAUで相当ハイレベルな音ですし、BPと厳密に比較しなければAPでもすばらしい音楽が聴けます。
★Oitafactoryのはんだづけ講座★1(初級編) DIP用下駄型変換基板
★写真の説明★SN100Cという無鉛半田を使用したもの。これでも産業分野できちんとしたはんだづけを心がけている方から見れば少し半田大杉にみえるかもしれないもの。(本当はもう少しへこんで見えるくらいでOK。この状態では少し音が丸くなります)→後で写真を貼りたいですがしばらく無理な予感。
はんだづけについていろいろ書こうかと思っていましたけど、あまり長いのもかったるいと思うので、まずはざっくりとはんだづけ作業の実際について概要をお伝えします。
当面ははんだづけ方面を攻めて見ようかと思います。
写真の変換基板についているDIP(デュアルインラインパッケージ)は少し前までのオペアンプで主流だったプラスチック樹脂(または一部セラミック)のパッケージです。SILという平らなタイプと違って、手作業で基板に挿すとき、横に倒れたりしないで、そのまま置くだけで済むのが普及した理由の一つではないかと思います。
今回はこのDIPタイプのシングルオペアンプ2個をBROWNDOGの変換基板に有鉛半田で半田付けする方法について解説します。
用意するもの電子工作等に適したはんだごて、0.65~1.2mm程度の糸ハンダ(フラックス入りのもの)、小手先クリーナー(こて台)、ルーペ等
【DIP用下駄型変換基板のしくみ】
BROWNDOGのDIPx2→DIPタイプの変換基板にはスルーホールというものが使われています。これは基板のピンを差し込む部分の穴の内側に金属製のチューブを使って表側と裏側がが連結された構造になっているものです。これにより、表か裏の片方だけついていれば最低限の電気的接続は生じる仕組みになっています。もっとも片側だけしかついていない不完全な半田付けははがれてしまう可能性もありますので、反対側まできっちり半田が詰まった状態で仕上げるのが基本です。
装着の方向性 BROWNDOGのDIP用下駄型変換基板の場合、オペアンプの1ピンがささる穴は■になっています。また裏から見るとBROWNDOGと書いてありますが、Bの側が1ピンのつく方向になります。(1ピンのある方向を頭側と覚えてください)
下駄型変換基板に使えるのは、シングルタイプ(1回路入り)のDIPタイプオペアンプだけです。同じ形をしていてもオペアンプでないものもたくさん存在しますので、装着前によくご確認ください。
オペアンプの準備 半田付けするシングルオペアンプは新品の場合、足が広がりすぎてうまく収まらないので少しだけ内側に曲げます。サンハヤトから専用の足を曲げる製品が出ていますが、通常はラジオペンチなどでゆっくり少しだけ内側に向ける程度でOKです。左右とも1~2ミリ程度曲げれば十分です。
変換基板の準備 表面をルーペなどで確認してクズがついていたら取り除きます。次に方向を間違えないように変換基板に2個のオペアンプを差し込み裏返しにします。この状態で2つのオペアンプの位置を微調整します。(初級編ですので細かいことは省略)
はんだ付けの前に
使用するコテはヒーターがセラミックのタイプがおすすめです。
小手先クリーナーのスポンジをぬらして、小手先を綺麗にしたら、いったん電源を切って、オペアンプのピンと穴の周りのリング状の金属部分を同時に暖めるように意識しながらコテ先をあれこれいろいろな角度で当てて見てください。もっとも接触面積が大きくなる方法をとりますが、これは小手先の形や角度によってやり方はかなり変わります。また表側からでも裏側からでも作業は可能です。表からの方がコテをピンに添えるようにして熱を伝えやすい場合もあるかとおもいますので、どちらから作業するかは道具と相談して決めてください。
半田の送り方の基本 半田を送るときは半田の小手先でなく、半田付けする対象に当てて溶かすのが基本です。ですから通常は母材がハンダが溶ける温度程度に暖まっていないと作業できません。
小手先の当て方が決まったら、電源をいれて、小手先がある程度の温度になったのを確認します。(通常、有鉛半田でも300度以上程度は必要です。)十分に暖まったら、いよいよ半田付け作業に入ります。
小手先を当てて、スルーホールの周りがフラックスが溶ける温度(100度前後)になったら、糸ハンダを少しだけ送ります。このとき、はんだの小手先に当てるとフラックスがあっという間に蒸発していみがなくなりますので、オペアンプのピンと変換基板のスルーホールと半田ごて間にできる小さな三角の部分に同時に当てるような感じにします。
フラックスと半田が少量流れると、熱の伝わり方が加速しますので、フラックスの活性が上がる200度の後半くらいの温度がスルーホール内に伝わったのを見計らって、素早く必要な量の半田を送り込みます。このときもコテ先に直接に糸半田が接触してフラックスを無駄に消耗しないように気をつけます。先走りのようにフラックスを穴に流し込むイメージで作業するとうまくいきます。
このときあまり急ぐと実際に必要な部分に行き渡る前にあふれる感じになって流れませんし、フラックスの固まりが中で膨張して空洞を作ったりします。遅すぎるとフラックスがなくなって無理矢理押し込んだかたちになったり、俗に言うイモ半田状態になりやすく、正常に半田付け完了できなくなります。スルーホールの上の部分まで十分に半田があがっていればはんだを送るのをやめて、この次のタイミングで半田ごてを離します。コテを離すのが早すぎるとフラックスが一部生のまま残ってしまいますし、遅すぎると焦げ付いてしまいますので、状態をみながら加減してください。全体が流れるようにいけば、オペアンプを破壊したりすることはありませんが、連続して半田付けするときは、もうすでにオペアンプも基板も暖まっているので、作業を早めにやってゆく必要があります。
裏側から作業した場合、表に返してはんだが十分反対側にいきわたっているかどうか確認します。反対側に到達した半田が綺麗な曲線を描いている状態が理想です。あるていど立派な音が出ればそのままでもOKですが、フラックスやはんだが足りていない場合、状態によっては修正します。またはんだの種類によっては吸い上がりにくいものもありますので、そのばあい、両側から作業した方がよいばあいもあるでしょう。大抵の場合、ある程度吸いあがった状態の方が音質的にもしっかりとした印象になります。(初めての場合、あまりこだわりすぎない方がいいでしょう)
詳しくは中級編以降で扱う予定ですが、事前にフラックスを使用して補う方法もあります。フラックスを使用した場合、生のまま残った部分を取り除く作業が必要です。(糸ハンダのフラックスとの相性などで問題を起こす可能性もありますし、オーディオ的にも少々難しい選択になります)
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